環境負荷の低減を目指して
Moxaは産業用通信のリーディングブランドとして、顧客がMoxa製品を使用する際の環境への影響を低減できるようにします。そのため、省エネルギー設計として製品の「エネルギー使用効率の向上」及び「エネルギー消費削減」という2つの取り組みを行っています。
取り組み1. エネルギー使用効率の向上
Moxaは電源及び保護部門(以下「Power Team」)を設けています。主に回路構造と部品の知識に関する研究について責任を負い、これにより電源及び保護技術関連のコアコンピタンスを確立し、Moxa製品に高信頼性及び高品質の電源ソリューションを提供しています。
製品のエネルギー消費の向上と小型化傾向に対応するため、近年Power Teamは「高変換効率及び電源の小型化」を開発の重点に置いています。2020年、Power Teamは「高効率電源モジュール」を開発しました。高効率電源変換アーキテクチャ、フラットパネル変圧器設計、第3世代半導体材料である窒化ガリウム(Gallium Nitride、以下「GaN」)を出力コンポーネントとして導入することで、高変換効率及び電源の小型化という目標を実現しました。
「高効率電源モジュール」開発における3つの重要ポイント:
1. 高効率電源変換アーキテクチャ:
ゼロ電圧スイッチング(Zero-voltage switching、略称ZVS)またはソフトスイッチング(Soft Switching)技術を用いた電源アーキテクチャを選ぶことで、スイッチング損失を削減し、電源効率を向上させます。
2. フラットパネル変圧器設計の導入:
これまでの変圧器と比べ、フラットパネル変圧器はコンパクトな外観、高い結合度、低漏れインダクタンス、優れた放熱性等の利点があります。製品設計においてフレキシビリティに優れ、小型化された製品に使用できるほか、電源変換効率に優れています。
3. 第3世代半導体材料GaNの使用:
これまでのATX電源と比べ、第3世代半導体窒化ガリウムGaN出力コンポーネントは、切り替えが早く、効果的に電子を伝えます。そのため、現在GaN出力コンポーネントは生成AI、データセンター、電子通信設備にて新たな選択肢となっており、Moxaは電源の変換効率を向上させるためにGaN出力コンポーネントを導入しています。
現在までに、Moxa Power Teamはすでに3種類の高効率電源モジュールを開発しており、電源変換効率の平均は現在の業界水準を上回っています。実際の使用においては、Moxaが開発したDC-DC30W広入力電源モジュールの平均効率は91%に達し、DC-DC 75W広入力電源モジュールの平均効率についても90%に達しています。この他、第3世代半導体窒化ガリウムGaN出力コンポーネントを採用したAC-DC 65W電源モジュールの平均効率は91.8%という高い基準に達しました。
上述した高効率電源モジュールの開発のほか、Power Teamは電源の省エネルギーに関する特許を取得しており、システムにおける電源の廃熱及びエネルギーコストの削減を目指しています。
取り組み2. 製品におけるエネルギー消費の削減
製品の電源変換効率向上のほか、製品自体におけるエネルギー消費の削減も省エネルギー、二酸化炭素排出量削減を達成するための重要な方向性となっています。Moxaは製品の設計においても省エネルギー製品という考えを取り入れています。以下は、エネルギー消費を削減したMoxa製品における実際の導入事例です。
事例1. 低消費エネルギーUSBシリアルコンバータ:
Moxaが開発した新しいタイプのUSBシリアルコンバータ(UPort 1200/1400/1600-G2 シリーズ)は、シリアルポートを持たないノートパソコンまたはワークステーションのために設計された最良のアクセサリです。第2世代(G2)USBシリアルコンバータは、次世代アプリケーション向け集積回路及び最適化された電源アーキテクチャを採用しています。次の表では、顧客がUSB 2.0転送速度を同様に使用した場合、第2世代(G2)USBシリアルコンバータが第1世代の製品と比較してエネルギーの消費を約47~67%節約したことを示しています。
製品名 |
第1世代(G1)エネルギー消費 |
第2世代(G2)エネルギー消費 |
省エネルギー |
UPort 1250 |
1.8W, USB |
0.8625 W |
52% |
UPort 1250I |
2.4W, DC |
1.265 W |
47% |
UPort 1450 |
3.12W, DC |
1.33 W |
57% |
UPort 1450I |
4.32W, DC |
2.225 W |
48% |
UPort 1650-8 |
6.96W, DC |
2.33 W |
67% |
事例2. 産業用パネルPC及びディスプレイにてオプティカルボンディングを全面導入:
Moxaの産業用パネルPC及びディスプレイは、2022年よりオプティカルボンディングによる設計を全面的に取り入れています。これまでのエアボンディングと比較すると、製造コストはわずかに増加しますが、利点によりもたらされる低反射率がLCDバックライトの高輝度を維持するほか、エネルギー消費を約10%削減することができます。
事例3. 産業用パネルPC MPC-2121シリーズ製品にバックライト自動調整設計を採用:
これまでの製品設計においては、顧客自らが環境に応じてLCDの明るさを調整する必要がありました。Moxa MPC-2121シリーズ産業用パネルPCは、製品に照度センサーを導入しています。照度センサーが感知することで、LCDディスプレイは環境に応じて明るさを自動調整し、人の目に最も適した明るさを作るほか、省エネルギー効果も発揮します。
事例4. 産業用アンマネージドスイッチEDS-G205、EDS-G308シリーズ製品が省エネルギー高効率イーサネット(IEEE 802.3az)規格に対応:
Moxa産業用アンマネージドスイッチEDS-G205 及びEDS-G308シリーズ製品は、いずれも電気電子学会(IEEE)が制定した省エネルギー高効率イーサネット標準である、IEEE 802.3az Energy Efficient Ethernet(EEE)に対応しています。製品が転送すべきデータ量が比較的少ない場合、デバイスは低電力アイドルモードに入り、スイッチのエネルギー消費を削減します。次の表は、EDS-G205 及びEDS-G308シリーズでEEEメカニズムをオンにした場合、エネルギーの消費を42%-57%節約できることを示しています。
事例の製品 |
EEEオフ |
EEEオン |
省エネルギー |
EDS-G205 Series |
3.374 W |
1.446 W |
57% |
EDS-G308 Series |
6.822 W |
3.957 W |
42% |
事例5. 特殊な省エネルギー及び省電力モード設計:
Moxaは顧客を第一に考えており、顧客の使用状況に応じ製品に待機モードを設定することで省エネルギー効果を実現します。例えば、Moxa ArmベースコンピュータUC-3100シリーズのスマートゲートウェイには電源制御のためのMCU機能が備わっており、移動体通信システムLTEを通じてCPU電源をオンまたはオフにします。この他、Moxa OnCell G4302-LTE4シリーズのモバイルルータには電源管理及びウェイクアップタイマー機能が備わっており、管理者は製品の電力使用状況をコントロールすることができます。製品が待機モードに入ると、2.8Wからわずか70 mWまでエネルギー消費が削減されるため、顧客のオペレーションコストを節約することができます。