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BESSの通信システムにおける課題:極端な気候条件、リアルタイムレスポンス、サイバーセキュリティ

2023年9月28日
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バッテリーエネルギー貯蔵システム(Battery Energy Storage System: BESS)は、昨今のエネルギー業界で最もよく話題にあがる技術です。この技術は、エネルギー貯蔵だけでなく、再生可能エネルギー源、電力網、ユーザーニーズ間の需給バランスを保ちます。そのため、信頼性の高い通信システムを構築し、以下3つの課題に対応することが非常に重要です。

極端な気候条件という課題

今日では、過去に比べて極端な気象現象がより頻繁に発生していることを、気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change: IPCC)は伝えています。特に、熱波に関しては、過去10年間と比較して2.8倍以上に増加しています。この状況は、人命や農業だけでなく電子通信製品に対しても大きな影響を与えます。劇的な温度変化、砂嵐、落雷などは、通信機器の不具合を引き起こす原因となり、結果的にBESS運用に影響を及ぼす可能性があります。一般的にストレージシステムは遠隔地に配置されるため、これらの極端な環境に耐える堅牢性に優れた産業グレードの通信機器を選択することは非常に重要です。

リアルタイムレスポンスの需要

電力網の高度化に伴い、より厳格な管理要件が求められるなか、電力網のバランス実現を目的とした大規模なバッテリーエネルギー貯蔵デバイスには優れた充放電特性が必要不可欠となりました。

一例として、英国のナショナルグリッドでは、電力補助装置の応答時間に関する要件が、当初の10秒から500ミリ秒に短縮されました[1]。また、一部の国では、最新の貯蔵電池は100ミリ秒レベルの応答時間を求められるケースがあります。つまり、これらの需要を満たすために、将来の通信システムは、より迅速なデータ転送速度、より広範なネットワーク帯域幅、より信頼性の高いネットワーク冗長性を備えた設計が必要です。

昨今のネットワークセキュリティ問題も重大な懸念

エネルギーや電力システムへのサイバー攻撃の増加を背景に、データセキュリティに対する関心が高まっています。今日では多くの国が、電力網システムを国家レベルの重要インフラと認識し、サイバーセキュリティ標準の高度化を進めています。NERCの「Security Integration Strategy」とEUの「Network and Information Security Directive 2.0」は、セキュリティ戦略が進歩していることを示す2つの例です。将来のBESS通信設計は、より深刻化するオンライン脅威に対応するためサイバーセキュリティを強化する必要があります。

状況を整理すると、エネルギーの変換技術が進歩する一方で、BESSが直面する課題は増加しています。安定した通信システムの構築が、この複雑な状況における鍵と言えるでしょう。極端な気候という課題に対応し、厳格な電力補助システムの需要を満たしたうえで、サイバーセキュリティを強化する必要があります。通信システムを選択、設計する際には、複数の要因を考慮したうえで安定運用を確保する必要があることを、私たちは経験から学びました。BESSプロバイダは、今後もこれらの重要な分野に向き合い、継続的に通信システムのパフォーマンスと信頼性を最適化しなければなりません。持続可能なエネルギーソリューションに必要となる大規模な電池貯蔵システムの実現には、効果的な設計と実装が必要不可欠です。

詳細は、BESSポータルをご覧ください。

 


[1] 「Energy storage-friendly frequency response service markets: The UK perspective」、Energy Storage Science and Technology、2022年

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