紹介
稼働時間を最大限に延ばすことは、機械の生産性を向上させるための鍵となります。そのため、ある機械式動力プレスの大手メーカーは、よりタイムリーで効率的なアフターセールスサービスによって、機械のパフォーマンスを向上させ、トラブルシューティングを効率化してほしいという要望をお客様から受けました。機械式動力プレス機は非常に複雑です。その設置方法も複雑で、設置と試運転に丸1か月かかります。メーカーは、そうした海外のお客様の要望に応えてタイムリーなリモートアフターセールスサービスを実現するために、動力プレス機内にMoxa Remote Connect(MRC)ゲートウェイを設置しました。
この機械メーカーが最初に導入したのは、Windowsをベースとしたリモートデスクトップコントロール(RDC)テクノロジーでした。しかし、これにはかなりのセキュリティリスクと追加コストが伴いました。WindowsベースのRDCの場合、プレス機からリモート接続できるようにするには、Windowsが動作するコンピュータを工場に設置する必要があります。しかし、Windows搭載コンピュータ自体がセキュリティリスクを抱えているうえ、そのコンピュータがインターネットに接続する場合は、攻撃を受ける可能性がより一層高まります。当然、サイバー攻撃は工場のオペレーションの停止につながります。この機械メーカーがセキュリティリスクを事前に回避するには、IT関連の複雑なファイアウォール機器を導入する必要がありますが、そうした機器の管理は時間がかかり、困難です。さらに、機械上でRDCを実行する各コンピュータには、コントローラソフトウェアの高額なライセンスが必要となるため、機械のメンテナンスとトラブルシューティングを目的としたリモート接続のコストは非常に高くつくことになります。
この機械メーカーでは、RDCの代わりに、クラウドをベースとした新たなMRCリモートアクセステクノロジーを導入しました。このテクノロジーはAmazonのAWSクラウドプラットフォーム上でMRCサーバーをホストし、(MRCクライアントとしての)エンジニアリングチームと(MRCゲートウェイの内側に接続された)プレス機械とを結ぶエンドツーエンドのセキュアなトンネルを管理できるようにすることで、リモートでの簡単かつセキュアな診断、メンテナンス、およびトラブルシューティングを実現します。MRCサーバーはメッシュ型のトンネルインフラストラクチャをサポート可能です。このインフラストラクチャでは、コンピュータ(MRCクライアント経由)や機械(MRCゲートウェイ経由)など、最大5,000台のデバイスをスケーラブルにつなぎ、多対多、エンドツーエンドの接続を確立できます。
MRC接続を使用する場合、MRCクライアントを実行するコンピュータのみにライセンスが必要なコントローラソフトウェアをインストールするだけで、リモートアクセスが可能になります。RDCと比べて、MRCでは各リモートマシンに関連するコンピュータやライセンスのコストを節約できます。さらに重要なのは、エンジニアがお客様の問題を自社オフィスから直に解決することで、不要な現場訪問にかかる時間と費用を節約できるようになったことです。実際、MRCゲートウェイを装備した機械をさらに増やせば、エンジニアリングチームは効率的なお客様サービスを世界中のあらゆる場所からより迅速に提供できるようになるでしょう。
システム要求
- 追加のコンピュータを必要としない、エンジニアと機械との間のセキュアな接続
- 現場の機械オペレータによって制御されるリモートアクセス
- エンジニアにも機械オペレータにも広範なIT専門知識が求められない、容易なネットワーク接続
Moxaソリューション
各種のリモート接続ソリューションの中でも、MoxaのMRCソリューションは、エンドツーエンドの完全に統合されたセキュリティ、使いやすさ、クラウドベースの柔軟性、過酷な工場内環境における実証済みの信頼性といった点で際立っています。クラウドをベースとしたリモートアクセス接続の確立に必要なのは、MRCゲートウェイ、クラウドサーバー、クライアントソフトウェアという3種類のコンポーネントのみです。
- この機械メーカーは、4Gセルラー接続を実現するためにLTEバージョンのMRCゲートウェイを機械設備に組み込みました。これにより、これらの接続をローカルの機械ネットワークから分離するための帯域外のリモートアクセスが可能となりました。
- 続いての投資として、エンドツーエンドの相互接続と管理に必要なさまざまなユーザーロールと特権を管理するMRCサーバーをホストするために、AWSを契約しました。
- MRCクライアントソフトウェアはエンジニアリングチーム側のコンピュータに無償でインストールされ、エンジニアは特定の機械へのリモート接続をボタン1つでリクエストできるようになります。
- リモート接続はシンプルかつセキュアで、機械オペレータが現場でMRCゲートウェイのローカルのオン/オフコントロールを通じて接続を制御します。オペレータは、MRCゲートウェイに接続している特定のデバイスやサービスへのリモートアクセスを制御したり制限したりすることができます。これにより、ホワイトリスト制御に基づく組み込みのファイアウォールを使用したロールベースアクセス制御が可能となります。
機械エンジニアがシンプルかつセキュアなMRC接続を使用してタイムリーなリモートサービスを提供したことで、お客様の要件は満たされました。それと同時に、この機械メーカーは機械の状態や動作状況に関して収集されたデータを最大限に活用し、機械オペレーションのための有益な提案を作成することで、摩耗の低減とパフォーマンスの最適化を図れるようにしました。以上のように改善されたアフターセールスメンテナンスサービスを自社のビジネスモデルで維持するために、この機械メーカーが取り得る今後の戦略としては、世界中に出荷される自社機械にMRCゲートウェイを設置することが考えられます。
Moxaを選ぶ理由
- エンドツーエンドのデータ暗号化を使用した、完全に統合されたセキュアな接続
- クラウドをベースとした相互接続とセキュリティ管理による、サービスのスケーラビリティ
- IT分野のバックグラウンドを持たないエンジニアが、複雑なファイアウォール設定やIP管理なしに、クリック1つでリモートの機械にアクセス可能
- IT分野のバックグラウンドを持たないオペレータでも、アクセスセキュリティのコントロールの設定が容易
- 既存のソフトウェアツールに適した透過的なトンネル
- 帯域外のLTEセルラー接続による、ローカルネットワークから分離された保護