最新の人気シリーズをストリーミングしたり、SNSで家族や友人と交流したり、在宅勤務で自宅から企業ネットワークのスプレッドシートを更新したりと、私たちのデジタル生活のほぼすべての面は、世界のどこかにあるデータセンターに保存・処理された情報へのアクセスを伴います。デジタル経済の基盤であるデータセンターインフラ(DCI)は、効率性の向上やコスト削減を目的とした継続的なインフラの拡張とアップグレードが必要です。実際、データセンターの運用停止は、運営者だけでなくデジタル経済全体に対しても大きな損失となり得ます。
デジタル経済の運営コスト
すべてのデータセンターは電力使用効率(PUE)を監視しつつ、設備やサーバーの冷却を同時に行っています。そのため、電力および冷却システムは建設費用の大部分を占めるとともに、運用コストにおいても重要な割合を占めています。新設データセンターへの投資や既存インフラの拡張いずれの場合においても、最適な電力および冷却の選択は最優先事項となります。
大規模なコロケーションデータセンターでは、新設種瀬悦の平均建設費用がしばしば数億米ドルに達し、その大部分が電力と冷却システムに充てられています。投資収益率を考慮すると、電力および冷却システムの効率性と信頼性を向上させて節約できる1ドルは、プロジェクト全体のコスト削減に大きく貢献することになります。データセンター事業者は、予測がむずかしく変動する顧客需要に対応するために、常にデータセンターの拡張に備えておく必要があるため、多くの事業者はサーバーモジュールやその他のネットワーク機器を追加する前に電力、冷却、監視機器を先行して設置することが一般的です。
既存の大規模データセンターの年間運用コストは、ほぼ例外なく数千万米ドルに上り、そのうち約50%弱が電力および冷却に費やされています。運用コストと持続可能性を踏まえ、DCIにおける電力消費削減を最適化する投資は、長期的にはコストと二酸化炭素排出量の大幅な削減につながります。この成長要因は、特に北米およびヨーロッパで顕著であり、レガシー機器の刷新や持続可能性の推進により大規模なDCIの成長につながっています。
DCI拡大における2つの主要課題
大規模なデータセンターインフラは、スイッチギアや電力計、コントローラ、環境センサーなど多くの機器で構成される、不可欠で相互に連携したシステムによって支えられています。これらの運用技術(OT)システムは、重要な電源供給、冷却、ビル自動化などが含まれ、安定した効率的な運用を支えています。そのため、異なるシステムに属する多様なハードウェアが協調して動作し、最良のパフォーマンスを確保しなければなりません。結果として、意思決定者は接続性に関して次の2つの課題に直面することが多くなります。
-
ダウンタイムの最小化
既存ネットワークへの機器追加には、設置や試験、再起動、再設定が必要となり、これらがネットワークの一部または全体に影響を与え、ダウンタイムを引き起こす可能性があります。ダウンタイムはデータセンターにとって大きなコスト要因であり、特に99.995%の稼働率と年間25分未満のダウンタイムを求められるTier IVデータセンターでは重要です。最適な機器の選定および設置計画の策定は、当初の想定よりも複雑で作業量が多く、時間もかかることが多いです。
-
異なる通信プロトコルを持つシステムの接続
D異なるシステムは異なる通信プロトコルを使用しています。例えば、電力計はRS-422/485インターフェースや従来のシリアルプロトコルを用いますが、冷却システムやHVACはBACnetなど異なるOTプロトコルを使用します。このため、これら異なるシステムを接続し、データセンターインフラ管理(DCIM)システムによる効果的な監視・制御を実現するには、システムの再構成、テスト、トラブルシューティングを含む場合もある、より長く労力を要する統合プロセスが必要となります。
既存のデータセンター運用への影響を最小限に抑える
上記の2つの主要課題に対処し悪影響を緩和するため、データセンター運用者はDCI拡張プロジェクトのソリューション評価にあたり、柔軟性・冗長性・相互運用性の3つの観点を考慮すべきです。
-
柔軟性:マイクロモジュラーデータセンター(MMDC)のようなモジュラー型アプローチは、運用の柔軟性とシステムの回復力に寄与します。運用者はモジュラースイッチを活用し、必要に応じて拡張モジュールの数を自由に増減できます。モジュラー設計は最も柔軟性が高く、オペレーターは冷却、無停電電源装置、および総合的なエネルギー消費の監視・管理を行うセンサーやコントロールを含む、アプリケーション特化型およびミッションクリティカルなモジュールを追加して容量を拡張できます。
-
冗長性:DCIに適切な冗長性を組み込むことで、特にシステムの拡張や最適化時におけるダウンタイムを最小限に抑えられます。例えば、冗長化されたネットワークは新しいシステム統合時に、通常のネットワーク経路を一時的に迂回させることが可能です。これにより、バックアップネットワークを介してシステム全体が稼働し続け、利用可能な状態を維持できます。

DCIの拡張は、飛行中の商用ジェット機に給油を行うことに例えられます。飛行機が停止できないように、データセンターも稼働を止められません。したがって、わずかなミスでも運営者に多大な損害をもたらし、事業に深刻な影響を及ぼしかねません。電源供給と冷却はDCIの建設・拡張・運用におけるコストの大部分を占めているため、柔軟性、冗長性、一貫性を初期段階から考慮した適切な機器調達と綿密なプロジェクト計画により、将来的な障害の発生を防ぐことが可能です。