昨今、世界規模で発生している様々なトレンドにより、デジタル化は切実かつ差し迫った目標となりました。業界問わず多くの企業が、他社に遅れをとることを避け、競争力を保つためには、デジタルトランスフォーメーション(DX)が不可欠であると気づき始めています。私たちは、より多くの業界でイノベーションが加速しているのを目にしています。その一方で、多くの企業がオペレーションの変革に成功することができず、将来への備えができていません。その理由としてよくあるのが、DXで重要なのは新しい技術や機器の導入だけである、という誤解です。
新しい技術を導入するだけがDXではない
新しい技術の導入のみに焦点を当てていると、企業は多くのリソースをプロジェクトに投資したにもかかわらず技術のポテンシャルを十分に引き出すことができない、という結果になるでしょう。産業用アプリケーションのDXを実現するには、新しい技術の導入だけでなく、ネットワーク上のすべてのシステムをシームレスに統合する必要があります。全体的に統合されスムーズに稼働するインフラは、新しく採用された技術が既存システムとシームレスに動作し、産業オペレーションを強化する土台となります。各業界は、新しいシステムを統合し、価値を生み出すベストプラクティスとしてIT/OTコンバージェンスを広く受け入れています。IDCが、IT/OTコンバージェンスについて実施した調査1では、30%を超える組織が、データヒストリアンソフトウェア、産業用制御システム、資産管理などのシステムから取得できるオペレーションデータを、自社のエンタープライズデータガバナンスモデルに初めて統合することを計画していると伝えています。
情報技術(IT)から、制御・運用技術(OT)のデータがアクセス可能になれば、OTデータは貴重な資産となり、組織の俊敏性を向上させます。アプリケーションのエンドポイント、コントロールセンター、本社間でシームレスにOTデータを転送することは、ITとOTそれぞれのシステムを統合して、新しく採用された技術を問題なく動作させるために不可欠です。そのため、強力かつ堅牢な産業用ネットワークは、DX化の成功に必要不可欠な要素と言えるでしょう。
産業用ネットワークには飛躍的な進歩が必要
ITとOTが融合したアプリケーションの急速な成長により、データの多様性とリアルタイム性が高まりOTデータの量が増加しました。一方で、産業用ネットワークインフラが非常に複雑化しています。その結果として、ネットワークの信頼性の維持がより困難になっています。ネットワークの信頼性は、マシン同士、マシンとコントロールセンター間の通信の安定性に直接影響を与えるため、中断のないオペレーションの実現を左右します。
メンテナンスエンジニアは、従来、ネットワーク機器のインジケーターが緑色に点灯しているかのみに注意を払っていました。しかし、今日はそんな単純ではありません。データが、将来のイノベーションを促進する要因になりつつあるため、データを適切な場所に適切なタイミングで確実に送信することが非常に重要です。そのようなデータ転送を確実とすることが、将来を見据えたネットワークの役割です。
したがって、企業は機器レベルではなく機能レベルの信頼性に注目する必要があります。つまり、将来的なニーズを満たすため、企業は安定したネットワーク接続に注力するだけでなく、シームレスなOTデータ接続を支援するネットワークを設計する必要があります。
将来を見据えた産業用ネットワーク構築には、エキスパートのサポートが必要
産業用ネットワークを、これらの新しい方向に転換することは容易ではなく、多くのOTエンジニアにとって不慣れな領域です。将来の産業用ネットワークモデルへの移行には、以下の特有の課題、ハードルが伴います。
- OT/ITシステムの統合により、従来は分離されていたOTネットワークが外部の脅威にさらされます。近年、OT分野を狙ったサイバー攻撃が急増しています。
- ネットワーク接続の拡大により、管理が非常に複雑化します。従来の方法では、何百、何千ものネットワークデバイスを効率的に管理することはできません。
- DXの成功は、中断のないオペレーションを実現する能力に左右されます。しかし、デジタル化を進めつつシステムの信頼性を維持することは容易ではありません。
- 産業用ネットワークは、一般的に年ごとの変更は多くありません。ネットワーク設計の際に、将来を見据えた長期的なユーザビリティを考慮することが重要です。
企業がこれらの障害を乗り越え、産業用ネットワークのスムーズ、確実な変革を実現するいくつかの提案をお伝えします。まず、シームレスなデータ転送と、統合におけるニーズに対応する信頼性の高いハードウェアとソフトウェアを選択することをお勧めします。これにより、中断のないオペレーションを維持できます。次に、OTネットワークに特化したセキュリティは、重要な構成要素であるため、軽視すべきではないでしょう。これは、OTネットワークをサイバー脅威から保護しつつ、システムの可用性を最大化するために必要です。最後に、直感的に使えるソフトウェアを優先的に選択することで、管理を簡素化し、OTエンジニアの負担を軽減できます。これにより、ネットワーク全体にわたる複雑な各種システムの監視、保守が容易となります。企業は、ネットワークとデータ接続の機能を組み合わせることで、遠隔制御コマンドやインシデント対応メカニズムといったインテリジェントな機能をオペレーションに組み込み、将来のOTアプリケーションのニーズに備えることができます。
Moxaは、35年を超える業界経験とOTネットワークの深い知識を活用し、産業用ネットワークを新世代ネットワーキングに飛躍させるサポートに尽力してきました。Moxaの将来にわたって利用できるネットワークソリューションは、企業がIT/OTシステムをシームレスに統合し、デジタル化された未来への移行に対応できるように設計されています。
企業は、Moxaのようなエキスパートのサポートを受けることで、自社の産業用ネットワークに関する懸念を解消しDX化に集中できます。そのため、デジタルイノベーションの力を活用することで、パフォーマンスを向上し、競合他社に差をつけることが可能となるでしょう。
Moxaの次世代ネットワークソリューションに関する詳細は、Moxaのマイクロサイトをご覧ください。
参考:
1. IDC、『Worldwide IT/OT Convergence Survey Findings』、2020年