大規模エネルギー貯蔵システムは、近年のエネルギー転換における成功の鍵といえるでしょう。世間一般的には身近な電力も、システムの観点からするとその取り扱いは容易ではありません。システム上で電力を適切に貯蔵、送電するには、バッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)の3本柱であるバッテリーセル、BESSプラント、電力網の間のバランスが重要です。
1. バッテリーセル間のバランスを実現
BESSは、モジュールまたはラックに収められたバッテリーセルから電圧、電流、温度に関するデータを収集します。バッテリーセル間の電荷の再分配など、各バッテリーセルのバランスを最適化することで、充電および放電プロセス中の潜在的な熱暴走をコントロールし、貯蔵キャビネットの品質と効率を確保することができます。
2. BESSプラントの適切なバランスを実現
BESSは、PCS(Power Conversion System:電力変換装置)などのキャビネットに加え、環境監視、バックアップ電源、アクセス制御を担う補助システムなど、エネルギー貯蔵システム内のすべてのキャビネットのスムーズな動作を確保します。過去には、BESSプラントで火災が発生したという事例もあるため、温度、空調、浸水を注意深く監視することは非常に重要です。リモートで監視、管理することで潜在的な問題を解決することができます。
3. 電力網のバランスを実現
BESSは、発電、送電、配電、使用といった電力エネルギーの一連の流れにおいて適切なバランスを取ります。発電量が多い時には余分な電力を蓄え、電力需要が大幅に増加した際には、エネルギー貯蔵システムが電力を迅速に供給し、送電網の安定性を維持します。一つの事例として、南オーストラリア州にあるテスラ社の蓄電プラントは、2017年にマイクロ秒単位で電力網のバランスを調整することで大規模停電を回避しました。
リアルタイムに流れるデータが、潮の満ち引きのように変動する電力需要を支えます。リアルタイムデータを瞬時に分析し、判断を下すことで、エネルギーバランスを維持することができます。しかし、複数のベンダーやセンサーがそれぞれ異なる通信プロトコルを使用していたり、予測が難しい天候、過酷な条件によって引き起こされる不安定な通信、セキュリティ上の懸念などが原因となり、これらの重要なデータを収集することは容易ではありません。
BESS業界はまだ歴史が浅いため、多くの課題に直面していますが、継続的な技術革新により、業界は力強く前進を続けています。
詳細は、電力に関するポータルサイトをご覧ください。