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効率性だけで満足していませんか?最大限の信頼性に向けたEtherCATネットワークの構築

2025年9月1日
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よりスマートで高度に自動化された運用に向けて競争が進む中、マイクロ秒での通信が重要となっています。ロボット、パッケージング、半導体等、より高い精度・速度・同期が求められる業界のニーズに対応するため、EtherCATは高性能モーション制御の標準となっています。独自の“on-the-fly”処理原理によって、従来の産業用イーサネットプロトコルでは実現できない時間確定性のある高速通信を提供します。

このようなことは、すでに皆さんはご存知かもしれません。こうしたメリットが理由で、重要なアプリケーションにおいてEtherCATが活用されてきたのではないでしょうか。しかし、産業システムが複雑化する中で、最も一般的なネットワークトポロジーに潜む脆弱性が、運用を脅かす可能性があります。

チェーンの中の脆弱なリンク

シンプルさやコスト効率の観点から、多くのEtherCATネットワークはデイジーチェーン(またはライン型)トポロジーで導入されています。この構成では、複数のデバイスが単純な直線状のチェーンで相互に接続されています。メリットがある一方で、この設計には致命的な単一障害点があります。

複数の延長コードを直列につないだ状況をイメージしてください。1本のコードを抜くと、それ以降のすべてが電力を失います。産業環境では、さまざまな事象が発生する可能性があります。チェーン内のノード障害、ケーブルの損傷、あるいはチェーン内のどこかで接続が途切れるなど、そのような場合、チェーン下流のすべての装置が即座にマスターとの接続を失います。これにより、生産ラインのセクションが停止し、生産性が低下し、高額なダウンタイムを招き、複雑なトラブルシューティングが必要となります。チェーンにデバイスを追加すればするほど、このようなリスクは増加します。

脆弱なチェーンから堅牢なネットワークアーキテクチャへの転換

最もシンプルで脆弱なトポロジーに縛られることなく、EtherCAT技術の恩恵を最大限に活用するにはどのようにすればよいのでしょうか?その答えは、異なるトポロジーを用いて、より堅牢なネットワーク構造を構築することです。EtherCATは、ツリー型やスター型など複数のトポロジーをサポートしています。これらのトポロジーが、より堅牢なEtherCATネットワーク構築にどのように役立つかを検証してみましょう。

ツリー型トポロジーは、EtherCATジャンクションを分岐点として活用します。マスターはジャンクションに接続し、そこで複数の分岐ポートが提供されます。各ポートは個々のスレーブデバイスに接続、または最も一般的なのは、より小さなデイジーチェーンのセグメント(ブランチ、枝)に接続する形です。これにより、マスターが根っこ、ジャンクションが主要な幹、デバイスセグメントが小枝となるようなツリー状の構造となります。これに比べ、スター型トポロジーはツリー型トポロジーの簡易版といえ、一段のみ分岐する構成となります。1つのブランチでデバイスやケーブルに障害が発生しても、他のブランチには影響が及ばない設計です。この柔軟なトポロジーデザインには、3つの利点があります。

  • 障害の分離:障害が1つのセグメントに限定され、トポロジー全体への波及を防止。
  • トラブルシューティングの簡素化:技術者は障害発生セグメントを迅速に特定、平均修復時間(MTTR)を短縮可能。
  • 柔軟な拡張性:既存のネットワークを中断せずに、新たなデバイスや機械モジュールを追加し、トポロジーをさらに分岐可能。

業界の課題

半導体製造およびリチウムイオン電池製造の2つの実際のアプリケーションを見てみましょう。この2つのアプリケーションでは、リアルタイムモーション制御と高精度な生産のためにEtherCATを使用しています。こうしたセンシティブなアプリケーションにおいてはシステムのダウンタイムは許容されず、シームレスなEtherCAT通信を維持するためにに不可欠な信頼性の高い接続が求められます。

半導体製造装置

半導体製造現場において、EtherCATプロトコルは主流となりつつあります。PE-CVD装置を例に挙げると、スペースの制約やノイズ環境により新規デバイスを追加するのは容易ではありません。装置は複数のセンサー、圧力計、電源制御に接続が必要で、そのために装置メーカーは、将来の拡張性と干渉耐性を備えた、複数ポート搭載のコンパクトなEtherCAT製品が必要となります。

リチウムイオン電池製造

リチウムイオン電池製造装置においては、数百台のEtherCATスレーブデバイスが複数のネットワークセグメントに分割されることは珍しくありません。同時に、メーカーは電源障害やシステムの不安定な状況下でも、オペレーションが正常に継続することを確実にする必要があります。メーカーはしばしば異なるプロバイダーのEtherCATデバイスを使用するため、相互運用性も主要な課題です。そのため、異なるメーカーのEtherCATデバイスとの互換性が確認されているEtherCATデバイスを評価・選定することが重要です。これにより、既存のトポロジーへこれらのデバイスを導入する際の円滑な統合が保証されます。

信頼性重視の設計  

堅牢で柔軟なトポロジーの実現には、産業用エッジ向けに特別設計されたハードウェアが必要です。MoxaのEJSシリーズ産業用EtherCATジャンクションは、高性能ネットワークの中心となるよう設計されています。堅牢かつコンパクトなEJSシリーズは、最大限の稼働時間と運用耐性を備え、現代の自動化ニーズに対応する堅牢で柔軟なEtherCATネットワークアーキテクチャを構築するために必要な、高い柔軟性を提供します。

EtherCATネットワークの強化に向けて

EtherCATデイジーチェーントポロジーを採用している場合、固有リスクを低減する方法を理解することが、よりよい運用に向けた次の重要なステップです。当社の最新のテックノートでは、潜在的な故障箇所の特定およびEtherCATジャンクションを活用した、より堅牢なネットワークアーキテクチャの実装方法について解説しています。テックノートのダウンロードはこちらからどうぞ: https://www.moxa.com/getmedia/76014bdb-dd28-42b2-a82d-b1d89f6ef4bc/moxa-building-a-fault-tolerant-ethercat-network-tech-note-v1.0.pdf

MoxaのEtherCATジャンクションに関する詳細は、製品ページをご参照ください。

EJS-04シリーズ: https://www.moxa.com/jp/products/accessories/ethercat-automation-devices/ejs-04-series

EJS-08シリーズ: https://www.moxa.com/jp/products/accessories/ethercat-automation-devices/ejs-08-series

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