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防御壁の外でOTデータを活用

2022年5月19日
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詳細は、OTデータレボリューションシリーズをご参照ください。


OTデータがITの世界に進出

なぜITの世界に、制御・運用データ(OTデータ)が入り込んでいるのでしょう。OTデータが従来の領域を離れて、新たな世界に踏みこむ理由は何でしょうか。そして、なぜこの進出が次世代の産業オートメーションに不可欠と言えるのでしょうか。「OT Data Next」シリーズの本稿では、MoxaのエキスパートであるJohnny Wangが、制御・運用データのIT分野への進出、そして暗所に潜む脅威を明らかにすることがなぜ重要であるかを詳しく解説します。

OTデータが従来の領域を離れる理由は、オペレーション上のニーズと密接に関係し、またOTデータがどのように活用されるかも大きく関係している、とWangは話しています。OTデータの進化を振り返ってみましょう。まずは、インダストリー 2.0です。この時代に電気の使用や、組立ラインによる生産が開始されました。コントローラが発明されたことで、工場内の機器のより正確な制御が可能となり、大量生産の普及に拍車がかかりました。単純なオン/オフスイッチによる、この時代のコントローラは、人々が日常的におこなう定型的なタスク達成に役立ちました。当時、データは小量であり、データを生成した機器内のみに存在していました。まだ黎明期であったインダストリー2.0時代のOTデータは、データを生成する機器内の活動のみに関与していました。

第三次産業革命(インダストリー3.0)では、新たな標準としてシステムの自動化が開始されました。コンピューティングと通信技術の進化により、自動化された生産プロセスに接続と通信の機能が導入されました。これらの機能は、コントローラにセンサーを追加することで実現しました。センサーが収集したデータをコントローラに送信することで試算を実行するという閉ループが誕生しました。コマンドは、その試算をベースとしたより多くのフィードバックを受けて遂行されました。このような閉ループによるコマンドは、OTデータが新たな状態に移行する最初の一歩となりました。従来はデバイス内にのみ存在していたOTデータが、このタイミングから、閉ループシステム内の複数デバイス間を移動するようになりました。技術の進歩につれ、OTデータも進化しました。産業DX、つまりインダストリー4.0が起こり、人々は事前にプログラムされた自動化だけでは満足できなくなりました。人々は、自身で思考するスマートなシステムを求め、OTデータの取り扱いに関する裁量が、次のレベルにあがりました。OTデータの真の価値を最大化する方法が今日の大きな課題です。OTデータの価値を最大化するには、OTデータを従来の場所から外に出し、より詳細な分析をおこなうためにデータセンターやクラウドへと送信し、生産効率や生産品質の向上、コストの削減、新しいビジネスサービスの提供などの分野に活用する必要があります。これをきっかけに、OTデータを遠隔地のITシステムに送信し、さらにデータ最適化のためにリアルタイムでOT側へフィードバックすることで、従来の局所的なOTデータ活用を有用なデータへと変換するという体制が開始されました。Moxaは、この体制を永続的なデータストリームと呼んでいます。この体制ではOT、IT間をデータが絶えず循環するループが形成されます。

Wangは、自身がサポートした自動車部品メーカーを例に説明しています。その工場には「ボトルネックとなる装置」がありました。つまり、製造工程において、すべての品目がその装置を通過する必要がありました。そのため、この装置が停止すると生産ライン全体が停止してしまうため、この装置のメンテナンスは必須でした。この自動車部品メーカーは、リスクの高さを考慮して、この装置の予知保全の実施を検討しました。予知保全により、部品消耗の予測、事前の在庫準備を可能にし、部品不足による生産停止を避けるためです。最終的には、このボトルネックとなる装置に追加のセンサーを設置することで、必要なOTデータを収集し、データが分析のためクラウドコンピューティングに送信されるようになりました。さらに、部品状況を計算し次のアクションを行うための予測がマネージャーにフィードバックされるようになりました。(本事例の詳細については、「Two Ways the IIoT Turns Data Into Gold for Manufacturing(IIoTが製造業界でデータを財産に変える2つの方法)」をご参照ください。)

OTデータをITの海に移動させる準備はできているか

OTデータをIT分野へ移動させることは、バラ色の未来を想像させるかもしれません。しかし、落とし穴に落ちないように留意すべき点があります。Wangが提案するデータ移動の前に考慮すべき3つのポイントをご紹介します。

  1. データの相互運用性: OTデータを従来の領域から移動させる際、一般的かつ最初に直面する課題は、OT/ITデータの相互運用性です。一般的に、OT分野で使用される通信プロトコルはITとは大きく異なるため、両分野間でデータを送信する際にシステムで通信エラーが発生することがよくあります。例えば、OTデータ出力に「5」というデータが単独、かつ何のコンテキストもなく含まれている場合、ITはその「5」が「マシンの速度」を表していると認識できず、通信ラインを滞らせてしまいます。OT/ITデータサイクルを実現し、データを2つの分野間で自由に移動させるには、OTデータの事前処理が必要です。

  2. データの整合性: コネクティビティ技術を介し、OTデータを完全な状態で送信することが2つ目の課題です。デバイス起動時に発生する電磁波、極端な温度、過酷な環境、さらには制御ネットワークとOTデータネットワーク間の相互干渉など、OT環境に散見される多くの障害が原因となり、完全な状態でOTデータを送信することは容易ではありません。これらの障害は、通信の切断や不安定化の原因となります。通信の遮断は、データが部分的に欠けた不完全な転送を引き起こし、誤った分析、意思決定につながる恐れがあります。そのため「データ転送の耐障害性」を強化し、データを迅速かつ完全な状態で送信することが重要です。

  3. データセキュリティ: OTデータの価値が高まるにつれ、データ転送をセキュリティ保護する重要性が高まることも重要なポイントです。従来、サイバーセキュリティは大きな問題ではありませんでした。工場と外部の境界線が物理的なバリアとなり、境界線内のデータを十分に保護していたためです。しかし、OTデータがITシステムやクラウドに接続される今日において、従来の防護壁は機能しません。したがって、どのように「OTネットワークセキュリティ」を強化するかが、企業が焦点を当てるべき課題となります。

OTデータの最適な伴走者

OTデータを外部の世界に移動させる必要性は高まっていますが、外部の荒海を安全に航行するには、適切な伴走者が重要です。危険に満ちた海に、OTデータを移動させるための適切な伴走者を選択するにはどうすればよいでしょうか。OT Data Nextシリーズの本記事で解説したOTデータに最適な伴走者に関する詳細は、以下のリンクからご確認ください。

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