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信頼性に優れたEV充電システム向けCAN通信の確立

2022年9月1日
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EV充電ステーションあるいはEV充電設備(EVSE:Electric Vehicle Supply Equipment)は、電気自動車(EV)のバッテリーを充電するための電気デバイスです。EVの普及によって道路を走行するEVの数が増えるにつれて、EV充電ステーションの数を増やすことも重要となります。一般的に、EV充電ステーションにはスタンドアロンタイプとネットワークタイプの2種類が存在します。スタンドアロンのEV充電ステーションはネットワーク接続せずに動作し、ネットワークタイプのは充電ネットワークに接続します。この2つのうち、ネットワークタイプの充電ステーションは、スタンドアロンタイプに比べて多くのメリットがあります。複数のEV充電ステーションをネットワークで接続しEV充電システムを構築することで、オペレータはアプリケーションプラットフォームを通じてエネルギー使用量を簡単かつリモートで管理することができます。EV充電システムは、各EVから充電状況やエネルギー使用量などの情報を簡単に収集し、EVがいつ、どれだけの電力を充電したかに基づいてEV所有者に課金情報を提供します。さらに、EV充電システムは電力網やエネルギー貯蔵システム(ESS:Energy Storage System)とデータのやり取りを行い、ESSからEV充電ステーションへの電力供給の安定性と信頼性が向上します。例えば、電力網上で需要が突然ピークに達した場合には、EV充電システムがESSに通知することで、エネルギー貯蔵システムのバッテリーに蓄電されたエネルギーを使用することができます。

EV充電システムのメリットを享受し、これを最大限に活用するには、EV充電ステーションとの間で信頼性の高い通信を構築する必要があります。この記事では、EV充電システムの設置関連した通信の課題について説明し、信頼性の高い通信を実現するソリューションについてご紹介します。

EV充電システムにおける通信の課題

EV充電システムがEV充電効率を最適化するには、必要な情報を収集するためのスムーズで信頼性の高い通信が不可欠です。EVが充電ステーションにプラグインして充電を始めると、EV充電ステーション、電力網、ESSは無線または有線ネットワークを介してバッテリーの充電状態、電力容量、エネルギー使用量などの情報をやり取りします。この情報は、解析を目的としてコントロールセンターにも転送され、オペレータはその情報を基に一定の時間に必要な電力量を正確に知ることができます。こうして、充電要件を満たすために十分な電力が常に供給されます。

信頼性の高い通信を確立するには、EV充電システムの接続を可能にする方法を知ることが必要です。通信事業者は信頼性の高いEV充電システムの接続を実現する上で、通信に関して一般的に2つの課題に直面します。

CAN通信プロトコルの伝送制限

自動車は通信バスとしてCANバスを採用しており、内部バッテリーにもCANバスを使用しています。多くのEVとEV充電ステーションがCANを介して通信しているため、EV充電システムはEV充電ステーションで使用されているCANデバイスに接続可能でなければなりません。しかし、ISO11898規格で述べられているように、CANシステムの伝送距離はボーレートによって制限されます。ボーレートが速いほど、最大伝送距離は短くなります。つまり、特定ボーレートに対するCANシステムの最大伝送長は延長できません。こうした距離に関する制約を克服し、より柔軟にEV充電ステーションを展開するには、長い通信距離で期待されるボーレートを実現するネットワーキングソリューションが必要になります。

適切な通信インターフェースの採用

同じ事業者が運営するEV充電ステーション同士は、それぞれが遠く離れている場合があり、それらを接続することは困難です。例えば、EV充電ステーションは建物間または郊外に個別に設置される場合があるため、長距離での接続を実現できるネットワークソリューションが必要となります。一部のEV充電ステーションでは、配線コストを削減するために、無線接続によってバッテリー/電気データを互いに共有または伝送しています。しかし、多くのEV充電器メーカーやシステムインテグレーターは、環境上の制限によって、無線信号のカバレッジが期待を下回る、もしくは信号損失が生じるなどの事態にたびたび遭遇します。そのため、信頼性を高め、ユーザーエクスペリエンスを向上させるには、有線データ接続を使う必要が生じます。信頼性の高い有線接続を確立する場合、銅線の代わりに光ファイバケーブルが採用され、電磁干渉から隔離および保護することで、長距離伝送を実現しています。

信頼性の高いCAN-ファイバソリューション

MoxaのICF-1171I CAN-ファイバコンバータは、CANバス通信の限界を超え、CANインターフェースで最大1 Mbps、CAN FDインターフェースで最大5 Mbpsの伝送スピードを実現し、通信距離を最大40 kmまで延長することができるため、EV充電システムにおいて信頼性の高い通信を構築可能です。通常、ネットワーキングデバイスは屋外にあるスペースの限られた制御盤の中に設置されます。MoxaのコンパクトなCAN-ファイバコンバータは、CANポート用の2 kVの絶縁と2 kVサージ保護に加えて、-40~75°Cという広範な動作温度で過酷な通信環境でも使用することができます。

多くのEV充電ステーションをコントロールセンターに接続するには、通常、長距離通信を実現するために複数のCAN-ファイバコンバータを必要とします。複数のデバイスを容易に構成するため、MoxaのCAN-ファイバコンバータにはDIPスイッチが搭載され、CANとCAN FDのインターフェースを簡単に切り替えることができます。さらに、MoxaのCAN-ファイバコンバータにはCANインターフェース用の自動ボーレート設定機能が備わっており、ユーザーが設定を行う必要はありません。通信エラーが発生した場合は、LEDインジケータを確認することで、エラーがCANまたはファイバ接続のどちらで発生したかを迅速に特定できます。

Moxaは業界をリードする接続ソリューションプロバイダーとして、お客様のご要望を満たす製品品質を提供できるよう、CAN-ファイバコンバータに5年間の保証を付帯しています。詳細については当社の製品ページをご覧ください。シリアル接続を可能にする他のソリューションをお探しのお客様のため、Moxaは今後数十年にわたって、シリアルデバイス接続の確立や維持に役立つさまざまなシリアル接続ソリューションを継続的に開発してまいります。

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