既存の産業用オートメーションシステムを最新のIIoTアプリケーションへと進化させるために、長年活躍してきたレガシーデバイスのすべてを手放す必要はありません。産業エッジシステムで使用されているレガシーデバイスは、現在使われている多くの携帯電話やノートPCよりも古いことがあります。それでも重要な役割を果たし続けており、全面的な置き換えには多大なコストを伴う場合が少なくありません。
しかし、IIoTアプリケーションでは、イーサネットネットワーク上でインターネットプロトコル (IP) を用いて通信する監視制御・データ収集(SCADA)システムが活用されることがよくあります。一方、レガシーデバイスの多くは、IP通信とは大きく異なるフィールドバスプロトコルによるシリアルベースの通信を使用しています。では、相互に通信できないレガシーシリアル機器を、どのようにイーサネットベースのSCADAシステムへ接続すればよいのでしょうか?
レガシーシリアル機器をすべて新しいイーサネットベースの機器に置き換えれば、通信の問題は確かに解決できます。しかし、すべての設備を更新するには多大なコストがかかるうえ、現場への影響も避けられません。例えば、シリアルベースのCNC装置を置き換えるには非常に高いコストがかかり、ほとんどの企業にとって予算の大部分を占めることになります。さらに、シリアル機器には独自のメリットもあります。例えば、RS-485の電力計はマルチドロップ通信に対応しており、配線を容易かつ効率的に行えます。シリアル機器とIPベースのシステムの間にシリアル・ツー・イーサネットソリューションを追加することで、コストと工数を削減できるだけでなく、シリアル通信のシンプルさとイーサネットの利点の両方を活用できます。この記事では、お客様に最適なシリアル・ツー・イーサネットソリューションの選び方をご紹介します。
シリアルデバイスサーバー選定の重要な基準
独自仕様のシリアル機器をIPネットワーク経由で接続する必要がある場合、シリアルデバイスサーバーは、レガシーシリアル機器と最新の通信システムとの間をシンプルに接続するブリッジとして機能します。しかし、シリアルデバイスサーバーの仕組みに関する十分な知識がないと、不必要な時間や労力を費やしてしまう可能性があります。ここでは、シリアルデバイスサーバーを選ぶ際に押さえておきたい3つの重要な基準をご紹介します。レガシーシリアル機器がModbusやPROFIBUSなどの標準フィールドバスプロトコルに対応している場合は、IP通信を実現する適切なプロトコルゲートウェイの選び方について、こちらの記事をご覧ください。

一歩一歩を、確かな価値に
現場で稼働し続けるレガシーデバイスをすべて刷新するのに比べれば、シリアルデバイスサーバーの活用方法や導入手順を把握することは、はるかに取り組みやすい選択肢です。ただし、何十台ものシリアルデバイスサーバーを立ち上げる際に、膨大な設定項目を1つずつ手動で設定していては、多くの時間と労力を要します。各シリアルデバイスサーバーのIPアドレス設定、仮想シリアル(COM)ポートのセットアップ、シリアルやイーサネットの各種パラメーター更新など、明確な手順や設定作業をガイドするスマートなユーティリティがなければ、シリアルデバイスサーバーの構成は大きな負担になりかねません。その負担は、何十台もの機器を管理・保守する必要がある運用フェーズに入ってからも、変わらず課題となります。

シリアルデバイスサーバーを選定する際は、設定や管理を効率化できる、使いやすいWebコンソールやユーティリティが用意されているかを確認しましょう。ネットワークの成熟に伴い、接続が必要なフィールド機器はさらに増えていくため、この機能を見過ごすべきではありません。設定作業を何度も繰り返すことは、機器管理の負担を増やし、現場の運用担当者の大きな負荷につながります。

つながる世界で、ネットワークを守る
これまで、産業オートメーションにおいては、小規模で独立したプライベートネットワーク内で限られた数のフィールドデバイスを接続するだけで十分でした。しかし、IIoT時代においては、産業アプリケーションでは、OTとITのエンジニアの双方がフィールドデータにアクセスできるパブリックネットワークを介して、より多くのフィールドデバイスを接続することが求められています。フィールドデバイスの外部へのアクセス性を高めることは、数多くのメリットをもたらす一方で、ネットワークを新たなセキュリティリスクにさらすことにもなります。適切な保護がなければ、アプリケーションは極めて脆弱になる可能性があります。例えば、交通管制装置は、道路に混乱を引き起こすために信号機を不正に操作しようとするハッカーの標的になる可能性があります。 不要なアクセスを遮断する方法は、ぜひ動画でご確認ください。
シリアルデバイスサーバーを含む無数の侵入口を通じて、アプリケーションにアクセスされる可能性があります。選定するシリアルデバイスサーバーには、データを保護するために十分なセキュリティ機能が備わっていることを必ず確認してください。強力なログインパスワードを使用したり、ホワイトリストを作成したりすることは、シリアルデバイスサーバーへのアクセスを認可された担当者のみに制限する最も簡単な方法です。シリアルデバイスサーバーで未使用のポートを閉じることも、悪用されるおそれのある不要な侵入口を効率的に遮断する方法です。データ伝送時にHTTPSなどのセキュアなプロトコルを使用することでも、フィールドデータへの不要なアクセスを最小限に抑えることができます。

“IIoT”の最初の「I」を忘れていませんか?
産業用アプリケーションに、今も商用品のシリアルデバイスサーバーを使用していませんか?商用シリアルデバイスサーバーは、長く使い慣れている場合や、接続するフィールドデバイスの数が限られている場合には、十分に思えるかもしれません。しかし、多数のフィールドデバイスを接続し、重要なフィールドデータをタイムリーに伝送する必要があるIIoTプロジェクトでは、あらためて見直すべきです。極端な温度や強い電磁干渉などの過酷な環境にも耐えられるシリアルデバイスサーバーを選定することで、シリアルデバイスサーバーの停止に起因するデータ損失の可能性を最小限に抑えることができます。

上記3つの基準でシリアルデバイスサーバーの選択肢を評価することで、産業用アプリケーションに適したソリューションを見つけやすくなります。例えば、Moxa の NPort シリアルデバイスサーバー は、IIoTアプリケーションでフィールドデバイスを接続するのに最適な、使いやすさ、安全性、信頼性を備えて開発されています。産業用コネクティビティについてさらに詳しく知りたい方は、当社のガイドブックをダウンロードしてください。