紹介
デジタル化で航路を最適化
海洋産業では燃料費や人件費が増加しているだけでなく、船舶は多くの場合、課税対象となり、業界全体で利幅が減少しています。この問題に対処するため、ある造船会社では、自社船舶上の情報をデジタル化することで、コストの削減と燃料効率の向上を図ろうと考えました。しかし、これを実現するのは困難でした。船舶の環境は本来予測不可能なものであり、的確なソリューションを展開するには、あらかじめ多くの障害を克服する必要があったためです。中国初の認証を受けたスマートシップ「大智(Great Intelligence)」では、最新の船舶アーキテクチャと運用コンセプトが採用されています。これによって造船会社は、よりセキュアかつ経済的で、環境に優しい船舶を世界に公開することができました。
スマートシップは、数年前はただのコンセプトにすぎませんでした。しかし、それがこの2、3年で現実のものとなり、期待に満ちた海洋産業の新時代が切り開かれることになったのです。船舶の航行中にデータを継続的に収集し、航路を最適化して、燃料の消費を低減することもできる、インテリジェントな統合航海システム(INS)を開発するには、業界の専門知識が必要となります。その実現に向けた最初のステップは、何百個ものセンサーからのデータをリアルタイムで収集および分析し、変化の激しい船上環境でデータを正確に処理することのできる、信頼性のあるセキュアなソリューションです。
システム要求
- 500個を超えるセンサーからのデータを収集および処理して、安全な航海を促し、最適な航路を選べるようにするとともに、予知保全によりダウンタイムを最小限に抑え続けること。
- 風向きや海流のデータを確実に収集し、そのデータを最適な航路の提案に利用することができるインテリジェントなINSの開発。
- さまざまなサブネットを使用するときに、データの円滑なフィルタリングと伝送が保証されるセキュアなネットワーク。
- すべてのデバイスが世界中のあらゆる場所の過酷な気象条件に耐えることができ、INSから切断されないことが保証されていること。
- 世界中の港湾にスムーズに入港できるようにするための複数の海洋認証の取得。
Moxaソリューション
センサーからコントロールセンターへの円滑なデータ伝送を保証
風向きや海流などのデータをセンサーから確実かつセキュアに収集するため、Moxaのシリアルツーイーサネットソリューション(NPort 5400シリーズ)と産業用セキュアルーター(EDR-810シリーズ)を複数のシリアルセンサーに接続し、多層セキュリティを通じてデータをイーサネットネットワークに伝送します。INSがデータを受信した後は、8つのNMEAポートと強力な演算能力を備えたMoxaの海洋コンピュータ(MC-7200-MP-Tシリーズ)が大量のデータを迅速に処理し、船舶が取るべき最適な航路を決定します。さらに、船舶がその能力を最大限に発揮して航行できるようにするため、Moxaのパネルコンピュータ(MPC-2240シリーズ)はオートメーションシステムのダウンタイムが生じないよう監視します。これにより船舶は安全に航行することができます。Moxaのソリューションは、すべての航程を通してシステムが安定して動作するよう、すべて海洋産業専用に設計されており、高湿度、塩分、霧が原因の腐食に対する耐性を備えたファンレス設計、熱設計、産業用設計の製品が用意されています。
インテリジェントなコントロールセンターを持つことで、航海はより効率化され、海洋産業における船舶の競争力は大幅に強化されます。データの継続的な収集とデータ分析によって、大智は自律船舶となることができました。これにより無人船舶の展開という、海洋産業における究極の目標に向けた一歩が踏み出されました。
Moxaを選ぶ理由
- センサーから収集された大量のデータを処理し、INS内のECDIS対応スクリーンに高解像度画像を表示することのできる高性能コンピューティングプラットフォーム
- Moxaの産業用セキュアルーターに組み込まれた高性能ファイアウォールが、データ転送時に許容できないレベルの遅延を生じさせることなく、WANからの不正な接続を阻止
- -40~70°Cの温度でも安定して動作するデバイス
- MoxaのデバイスはIEC 60945 Edition 4、IEC 61174、IEC 61162、IACS E10のほか、DNV GL、ABS、LR、NK、CCSといった海洋規格と認証に準拠